捜査2課の調べによると、中村容疑者は鹿児島県保健福祉部長に出向していた当時、小坂容疑者らと共謀し、厚労省が京都府内の大学の教授に支給した「障害保健福祉総合研究事業」の01、02年度分の補助金約3000万円のうち、余剰金となった210万円を同省に返還せずにだまし取った疑い。
同研究事業は、障害者が安全で快適に生活できるためのインフラ整備に関する研究で、主任研究者の下に8人の分担研究者が参加している。
当時、中村容疑者の部下だった鹿児島県の課長補佐と係長が補助事業の分担研究者や経理担当となった。実際に研究は進められ、教授側から分担研究者として補助金370万円の分配を受けたという。その分配金のうち210万円が余剰金となった。
中村、小坂両容疑者らはその余剰金をだまし取ろうと計画し、小坂容疑者が社長を務めていた会社から消耗品を購入したように装い、210万円を会社の口座に振り込ませたという。
中村容疑者は慶応大医学部卒業後、84年に厚生省(当時)に入庁。00年4月〜12月は同省障害保健福祉部企画課長補佐。05年4月から埼玉県保健医療部長を務めていた。
小坂容疑者は「小坂浩彰」の名で、北朝鮮などへの国際人道支援を目的とするレインボーブリッヂを00年4月に設立。北朝鮮へ医薬品や食料品を送り、頻繁に北朝鮮や中国を訪れて北朝鮮政府関係者と情報交換していた。03年夏には、帰国した拉致被害者の子どもたちと平壌で面会し、手紙や写真を持ち帰った。
http://www.asahi.com/national/update/0309/TKY200703090358.html