新品種を発見したのは、県内でサクラの保護育成に取り組む団体「とやまさくら守の会」の武田宏さん(上市町)と八木秀治さん(黒部市)。それぞれ、県内でのサクラの分布や生育状況などを調べていたが、昨年2月、上市と黒部の民家の敷地で、見慣れない花を開かせているサクラを発見、大原さんのところに持ち込んだ。
大原さんによると、サクラは東アジア原産で、日本などに20〜30の野生品種があり、交配で作られた園芸品種は200〜400あるとされる。
そのうち、冬咲きはこれまでに8品種しか確認されておらず、大原さんが、花と葉を調べたところ、8品種とは花やガクの形状などが異なることから、新品種と分かった。県内でのサクラの新品種発見は、1970年のフタカミザクラ以来、37年ぶり。
新品種は、冬咲きのフユザクラと、春に咲くヤマザクラが交配したものの可能性が高いといい、10月下旬から4月まで咲く。
冬の間の花の付きが良く、花の色も白からピンクへと変化する。1本の木で紅白を楽しむことができるのが特長で、大原さんは「観賞価値の高い品種」という。3日、東京で開かれた第1回日本櫻(さくら)学会の発表でも好評を博した。
その後の調査で、魚津市と立山町でも見つかり、県内の計10か所で確認されたが、いずれも樹齢100年以上のため、新品種の起源がどこにあるかなどはたどりきれないという。
新品種は、きょう9日から、花がもつ約1週間、同園で一般展示される予定。
今後、大原さんと武田さん、八木さんで、名前を付ける予定だが、それぞれ、「富山にちなんだ名前を」と意気込んでいる。全国のサクラ関係の団体に呼びかけ、全国にも広めていくつもりで、大原さんは、「県のPRにつながれば」と笑顔を見せていた。