JR西日本が9日実施した負傷者救助訓練。150人もの負傷者が出た“脱線事故”で先頭車両も横転しているのに、多重事故を防ぐ要になる防護無線のスイッチを押すのは、なぜか負傷した運転士だった。
防護無線は、事故車両の約1キロ圏内を走る電車の運転士に最も早く事故の発生を伝え電車を緊急停止させる装置。先頭車両と最後尾の車両などにある。尼崎JR脱線事故では先頭車両の運転士が死亡したほか、防護無線装置が壊れて作動せず問題になった。
訓練計画立案にかかわったJR西日本神戸支社は「踏切事故では列車が横転しない限り運転士はまず負傷しない。横転しても運転士が生き残る可能性もあり、訓練の想定が現実離れしているとは思わない」と説明する。
運転士が月に1回行っている乗務員訓練でも、運転士が防護無線のスイッチを押す決まりになっているという。
ZAKZAK 2007/03/09