同庁は、「容疑者の心情を理解しつつ、真相解明するとの基本姿勢が不十分だった」などの問題点を指摘。当時の県警本部長の稲葉一次・関東管区警察局総務部長に対しては、長官が文書で厳重注意した。
同庁は、鹿児島県警からの報告や判決内容を詳細に分析。その結果、容疑者の心情を理解しつつ、真相を解明するという基本姿勢が不十分だったうえ、心身の状態が供述の信用性に影響するのに、健康状態に対する注意が不足していた、と判断した。
さらに、供述が客観的事実と矛盾しないかなどを吟味し、供述内容の変化を合理的に説明できるか、チェックが尽くされなかった▽関係者からの事情聴取、証拠資料の収集、アリバイ捜査が尽くされず、供述の信用性の判断が不十分だった——として、通達では、これらの点に注意するよう指示した。
また、捜査を指揮する立場にある警察幹部に対しても、容疑者の取り調べ状況を把握し、供述の信用性を慎重に吟味したうえで、事件の全容を見極め、主体的・具体的に指揮するよう求めた。今後、都道府県警の巡回指導を行うほか、捜査員の研修内容を見直す。
稲葉元本部長に対する厳重注意は、国家公務員法上の懲戒処分ではなく、業務上の指導だが、長官自らが文書で行うのは異例という。
漆間巌長官は同日の記者会見で「全体を見渡して指揮するのが本部長の役割。事件を見極めて引くなら引く、更に詰めが必要なら詰めるよう言える資質がないと失格だ」と語った。
http://www.asahi.com/national/update/0309/TKY200703090021.html