和歌山談合・汚職事件の構図
この日初公判があったのはほかに、贈賄と談合、所得税法違反(脱税)の3罪に問われたゴルフ場経営会社元代表井山義一被告(56)と、いずれも談合罪に問われた大手ゼネコン「大林組」元顧問、日沖九功(ちかのり)(64)▽準大手ゼネコン「ハザマ」元大阪支店副支店長、丸岡紘一(65)▽同「東急建設」大阪支店社員、谷本治(59)▽同「熊谷組」元関西支店次長、川山男也(54)の各被告。
検察側は冒頭陳述で、近畿圏の土木工事業界では、ゼネコンなど各社の「共存共栄」を図るために三十数社が参加する談合組織が存在していたと指摘。各社の過去の受注実績や「天の声」と呼ばれる発注者側の意向などを踏まえて受注業者が決められ、和歌山県では木村前知事就任前から県側がこの「天の声」を使って談合にかかわる習慣があった、と述べた。
その上で木村前知事の談合への関与について、00年9月に初当選した前知事が井山元代表からこの談合システムを教えられ、県発注工事を「えさ」に選挙基盤の確立を画策したと指摘。前知事の指示を受けた水谷前出納長が、井山元代表や業界内の談合の仕切り役だった日沖元顧問らと共謀し、大規模土木工事の共同企業体(JV)に入る地元業者については知事選での協力度合いを考慮して決めていたことを明らかにした。
井山元代表と木村前知事との関係については、ゼネコン側から多額の受注謝礼金を受領していた井山元代表が01〜03年、談合に介入させてもらった見返りとして木村前知事に毎年200万〜300万円を渡していたと指摘。前知事は収賄罪の対象となった1000万円を含めたこれらの現金を、自らに批判的な地元業界紙の対策費や自家用車の車検代、家族旅行費などに充てていた、と述べた。
さらに検察側は木村前知事の捜査段階の供述調書を読み上げ、木村前知事が初当選直後に井山元代表らと会い、地元業者が知事選で対立候補を支援することのないよう、県発注工事で「アメとムチ」を使い分けてほしいという意向を伝えていたことも明らかにした。
西田裁判長は6被告の公判を分離し、丸岡、川山両被告の判決を5月28日、水谷、日沖、谷本の3被告の判決を同30日にそれぞれ言い渡すことを決めた。
http://www.asahi.com/national/update/0308/OSK200703080013.html