長年学校用地として使われていることを理由として、阿部潤裁判長は今月一日、都に土地を安価で学園側に売却するよう和解を勧告していた。和解金は市価の一割程度にあたるという。
朝鮮籍や韓国籍、日本籍の子供たち六十五人が通う第二初級学校は、敷地の約八割が都有地。学校がある枝川地区は戦前、ごみの埋め立て地に朝鮮人が強制移住させられた地域で、学校周辺の住宅地は市価の一割以下で都から住民に払い下げられた。
都はこうした歴史的経緯に配慮し、一九七二年から二十年間契約で、同校に無償で土地を貸与。当時の土地使用貸借契約書は「契約終了後も学校用地として継続使用する必要がある場合は協議し善処したい」としていた。契約期限が切れた後、都と学園側は交渉を続けてきたが、拉致問題などで北朝鮮非難が強まる中、都は二〇〇三年に突然、立ち退きを要求。同年十二月に提訴した。
学校側の弁護団は「学校を取り上げられるのではないかという子供たちの不安を解消できたことが一番の喜び。子供たちの教育権を保障する場であると都が認めて和解したのは重要な意義がある」との声明を出した。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070308/eve_____sya_____002.shtml