東京新聞との出会いは、半世紀も前。漫画雑誌に「ほのぼの君日記」を描いていた新進漫画家の佃さんに、朝刊発行を計画中の東京新聞の文化部が「こんな漫画を」と頼みにいった。当初は“無声漫画”だったが「せりふがないため表現が行き詰まって」七年目に中断。充電期間をおいた後、一九七〇(昭和四十五)年からせりふ入りの「ちびっこ紳士」として再開。この時から中日新聞、北海道新聞、西日本新聞にも掲載されるようになった。そして五千回に達した翌日から、また「ほのぼの君」に。
その後、二〇〇一(平成十三)年には一万三千六百十六回に達し、故加藤芳郎氏(毎日新聞夕刊「まっぴら君」)が持つ最長記録を突破。〇四(同十六)年には第三十三回日本漫画家協会大賞を受けた。
「まさか、ここまで続くとは思わなかった。この五十年間、長い旅行にも行ったことがない。連載開始当時は二十六歳だった僕も、もう喜寿。そろそろやめても許されるかな」と、連載の終了を決断した。最終的に到達した一万五千四百五十一回の記録は、現役の東海林さだお氏(毎日・朝刊)が今のペースで描き続けても到達するのに十二年かかるという金字塔だ。
佃さん、本当にお疲れさまでした。「ほのぼの君」は永遠に読者の胸に−。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070308/mng_____sya_____010.shtml