マンション分譲の「日本綜合地所」(東京)は、社員を対象に3人目以降の子供に対する子育て支援策を導入。4月1日に第3子以降が生まれた場合、出産費用を含め、中学校卒業までの教育費を全額支給する。
同社経営企画室は「医療費の補助も検討中。3月いっぱいをメドに具体化していきたい」としている。同社はこれまでにも、男性社員に対する2週間の育児休業取得の奨励や、未就学児を抱える女性社員に対して子供1人当たり月額5万円の「お母さん手当」を支給してきた。
このほか、家族手当を子供1人当たり月額2万円支給するなど、子供を持つ社員に太っ腹な支援策を取ってきた。
厚生労働省によると、教育費の企業負担は自治体以外では珍しいという。同社がモデルケースとしたのは群馬県太田市の支援策。太田市は、妊娠時から中学卒業までの教育費負担を決めている。
同市の総人口は21万3000人。試算では現在240名弱が対象となり、対策費として年間5億円が必要だ。市では予算化を急いでいる。
国の少子化対策を主導する厚労省は育児・介護休業法に基づき、指定法人として「21世紀職業財団」を管轄。財団には231社が加盟(07年3月現在)しており、仕事と家庭の両立支援のための行動計画を課している。
これによると、何らかの手当で経済的支援を行う計画を策定している企業は12社。その中には意外な企業の名もあった。
「従来の扶養手当を拡充し、『家族サポート制度』を設けた」と子育て支援の取り組みを説明するのは経営再建中の「三洋電機」(大阪)の広報ユニット・上村正次担当課長(39)。
同社では出産祝金として第1子に50万、2子に70万、3子に90万円の一時金を給付。未就学児に入園祝い金として一律50万円、小学校で60万、中学校と高校で70万円とそれぞれ祝い金を拠出している。
「少子高齢化は企業としても死活問題。子育てを企業として積極的に支援していきたい」(同) さらに、大企業ばかりでなく、従業員300人以下の中小企業にも子育て支援事業に取り組む企業がある。
金型設計やプレス加工事業を営む「カミテ」(秋田)は託児所を会社内に設置、育児・介護休業の拡充や妊婦へ特別有給を適用するなど独自の子育て支援策を行っている。
同社の上手康弘社長(44)は「ただ経済的支援を行うだけではだめ。従業員が安心して働けるように、使える制度を導入することが大切」と制度の意義を説明する。
同社は取り組みが評価され、厚労省から子育て支援に積極的だとして「ファミリーフレンドリー企業」と認定。2001年には厚生労働大臣努力賞を贈られた。
3人目の“金の卵”のためあの手この手の各企業。はたして試みは奏功するのか。
ZAKZAK 2007/03/08