1950年代初めに活躍した女子プロ野球チームの足跡を描いた演劇「柏の郷愁(うた)」(柏市など後援)が8〜10日、柏市民文化会館小ホールで上演される。「東京レッドソックス」のオーナーだった柏市旭町4丁目、元柏市民新聞社長の関浦信一さん(95)の記憶や当時の新聞・雑誌などを元に、チームの結成秘話や活躍ぶりを市内の会社社長らが演劇化した。
レッドソックスは50年1月、東京・日本橋で結成された。各地で女子球団設立の動きが盛んな時代だったという。
レッドソックス結成に奔走したのが、当時、仕事を辞めたばかりだった関浦さん。「スポンサーが見つかれば、球団経営をやっていける」。一般紙で選手を募り、約500通の応募から20歳前後の11人を採用した。関浦さんは当時を振り返り、「民主主義を突き詰めて考えると、それは男女同権だと思った。チームをその象徴に育てたかった」と話す。
結成直後は柏市内の競馬場(現在の豊四季台団地)が練習場だった。選手たちは市内の草野球関係者らの指導で、ノックやキャッチボールに励んだ。バットやボールの扱いに不慣れな選手もいたという。後にはプロ野球の元選手も監督として選手を鍛えた。
同年3月には日本女子野球連盟が発足。4月にはレッドソックスなど4チームが後楽園球場でトーナメント試合をした。翌日の一般紙は、球場に観衆約1万5千人が詰めかけたと報じた。
チームは各地を遠征し、地元の男性の野球チームとの対戦も多かった。遠征先では歓迎されたが、一部に「女性を見せ物にしている」といった批判もあったという。
レッドソックスは51年夏、関浦さんの手を離れ、チームのスポンサーだった製薬会社・三共の所属となった。「引退後の身分保障などを考えた末、選手の引き受けを申し入れた」と関浦さんは話す。
女子プロ野球は、経営難などで52年にはほとんどが社会人野球か解散の道をたどった。
今回の演劇の制作プロデューサーを務めた会社社長の森一男さん(75)は、「かつて女子プロ野球に夢を追い求めて、人々が柏に集った歴史を多くの人に知って欲しい」と話している。
開演は8、9両日は午後4時半、10日は午前11時と午後4時半。全席指定3千円。8日は完売。問い合わせはモリ・エンタープライズ(電話04・7148・1251)へ。
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