「世界一使いやすいブラウザを世界に普及させたい」。国産ウェブブラウザ「Lunascape」(ルナスケープ)の開発者、近藤秀和さんの目標は壮大だ。スゴ腕プログラマーとしても知られる近藤さんに、ルナスケープの特徴、目指すものを聞いた。
「エクスプローラよりも常に先行」近藤 ウェブ・ブラウザです。ブラウザはインターネットを使うために必須のソフトウェアなので、パソコンを使う人は誰でも使ったことがあると思います。
最も普及しているブラウザは、米マイクロソフト社の「インターネット・エクスプローラ」。国内の普及率は8割以上といわれています。次が、モジラ財団の「ファイア・フォックス」で8〜9%。これらのブラウザに比べるとルナスケープのシェアは大きくはありません。国内のネット利用者の2%が使っています。
ルナスケープの特徴を一言で言うと、使い易さに尽きます。インターネット・エクスプローラよりも常に数歩は先行していると自負しています。ルナスケープ社のサイト(http://www.lunascape.jp/download/)から無料でダウンロードして使えるので、試してほしいですね。あえて、言葉で説明すると、タブ機能(複数のウェブサイトを並行的に閲覧できる)、ブックマークの管理がしやすいこと、最初からRSSの表示ができるように仕組まれていることなどが主なところです。
近藤 通常のブラウザのほか、ネット・オークションで商品を探したり、出品したりするのに適したものや、外出先などでPHSのデータ通信を使ってノートパソコンからネット接続するのに適したものがあります。
広告業界の注目を集めたのは、ある自動車メーカー向けに作った車のデザインや雰囲気を取り入れたブラウザです。企業向けにブラウザをオーダーメードする、という発想が目新しかったのだと思います。
近藤 少し前まで、収入の大半はオーダーメードの企業向けブラウザの開発費などでした。
今、力を入れているのは一人一人のルナスケープ利用者を対象にしたビジネスです。ルナスケープにあわせて、別のソフトウェアもダウンロードしてもらったり、控えめな広告を出したり、ブラウザの機能を使って、あるウェブサイトにページビューを誘導したり、といったことを考えています。一部は実施しています。目先の売上よりも、1、2年先を見つめた仕事をしたいと思っています。