日本、米国、インドが4月上旬、日本近海の太平洋上で初めての共同訓練を行うことが5日分かった。米国側の要請によるもので、政府は多極的な防衛交流によりアジア・太平洋地域の安全保障の枠組みを強化するとともに、軍事的に急速に台頭する中国を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。
共同訓練は、4月上旬から神奈川県南方の太平洋上などで約1週間の予定。海上自衛隊からは護衛艦などが参加する。
04年末のスマトラ沖地震で日米の部隊が中心となって、海上からの物資の輸送などにあたった。今回の訓練はこうした災害を念頭に、通信訓練や救護訓練など海上での安全確保を目的とした内容になるという。
ただ国防費が19年連続で10%を超える伸びを示すなど軍事力が増す中国をにらんだ連携との見方も強い。外務省関係者は「米国の思惑としては、中国の軍事力台頭を横目に、日米印の連携を見せるという意味合いがある」と話す。
安倍首相は自由や民主主義などの価値観を共有する国々との交流の拡大を打ち出し、日米豪印の戦略対話を提唱している。11日にはハワード豪首相が来日し、日米豪の防衛相による定期協議の創設なども協議される予定で、今後、日米豪印4カ国の安全保障面での連携が強まりそうだ。