昨年6月に破産した「平成電電」を巡る巨額詐欺事件で、同社は、固定電話サービス「CHOKKA(チョッカ)」などの通信事業で赤字が続いていた事実を隠すため、所有する株式の含み益を計上するなどして、表面上、黒字のように装っていたことが警視庁捜査2課の調べでわかった。
同社の決算を巡っては、監査法人が、適正かどうか判断しない「意見不表明」の見解を3年連続で出していたが、そうした情報も公表していなかった。捜査2課は、元社長の佐藤賢治容疑者(55)らが投資家を信用させるため、CHOKKAの業績が好調であるかのように装ったとみて追及している。
匿名組合を設立して投資家から総額487億円を集めていた「平成電電設備」と「平成電電システム」のパンフレットなどによると、平成電電が2005年10月に民事再生法の適用を申請する直前の05年1月期の同社の当期利益として、約1億2000万円の黒字が計上されていた。
しかし、平成電電が監督官庁の総務省に提出した05年1月期の決算書類によると、同社の固定電話サービスによる通信事業は、実際には約137億円の赤字で、捜査2課が、同社の財務状況を調べた結果、所有する株式の含み益を、通信事業に関係する利益として計上する手法で、当期利益を黒字に装っていた疑いが浮上した。さらに、こうした決算について、二つの監査法人が難色を示し、03年1月期から05年1月期までの3期連続で「意見不表明」として監査していなかったことが判明した。
同社は、こうした経緯や、決算が未監査である事実を投資家に公表せず、ホームページ上などでも、3期連続で利益が出ているかのような記載を続けていた。
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