これまで、居眠りの予兆は脳波や心電図でとらえられてきたが、電極などを体に付けなければならず、自動車では使えなかった。
グループは、脈や呼吸の乱れから、居眠りの約10分前に予兆が分かることをつかんだ。背もたれに脈をみる圧力センサー、座席の下に呼吸をみる磁気回路センサーをつけた検知用座席を試作し、振動装置や実際の車で実験。たとえ厚着をしていても十分に予兆が検知できることを確かめた。
実験では、背もたれの角度を33度後ろへ倒すと最も疲れにくいことや、バネなどで車の振動が体に伝わらないようにすると疲れや居眠りの防止にいいことなども分かった。これらの成果はデルタツーリングの「疲れにくく、居眠りが起きにくい座席」の設計に生かされ、2月から販売されているマツダのスポーツカーRX—8の限定車に使われているという。
金子さんは「居眠りの予兆が検知され、次にどんな方法で眠らせないようにするかが今後の課題」と話している。