港区は、人口急増から教室不足が懸念される区立芝浦小の建て替え用地として、近くの工場跡地をあてこみ交渉を進めていたが、そこから国の環境基準を上回る有害物質が検出され購入を断念したことが分かった。いまの敷地にプレハブ校舎を建てるなどして当座はしのぐという。
(上林格)
港区によると、芝浦小の建て替え用地として、近くの東京ガス製造工場跡地(約3万2千平方メートル)と同小敷地を交換するなどの交渉を進めていた。
ところが1月下旬、同工場跡地の土壌と地下水から、国の環境基準を最大で1900倍上回るシアンなどの有害物質が検出されたことが公表された。土壌改良後も最低2年間は地下水をモニタリングする必要がある。結果次第では追加調査の必要もあるという。区は安全性を確かめるまで時間がかかるため、購入を断念した。
芝浦小があるのはJR田町駅のすぐ近くで、JR山手線の海側。「芝浦・港南」地区と呼ばれる。
もともとは倉庫や工場が集まっていたが、その跡地などにマンションの建設ラッシュが続いている。このため、地区の今年1月の人口は3万943人と、前年に比べ2割近く増えた。区は09年に4万人、16年には4万3千人と爆発的な伸びを予測。マンション購買層の中心は30歳代の共稼ぎ夫婦だといい、小学校の教室不足が深刻化しつつある。
区教委によると、現在12学級を使用する芝浦小は、07年度中にさらに1、2学級増が予想され、過去に普通教室だった部屋を内部改装して復活させる。また敷地内にプレハブ校舎を建設し、08年度は1学年3学級の18学級態勢で構えるという。
同じ地区にある港南小は06年度中に2学級増えて12学級に。07年度はさらに2学級増えるとされる。窮余の策として、隣接する港南中の空き教室を利用するほか、夏休み中に同小1階にある校長室や職員室を中庭に建設するプレハブに移転させ、普通教室2、3室分を確保する。
3年後には港南幼稚園と合築した24学級の新校舎ができる。だが、区の予測では16年にはそれでも足りないとするデータもある。区教委は、新校舎には普通教室に転用可能な「多目的教室」を6学級分用意し30学級態勢にする計画に修正した。
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