日本製紙クレシアが今月下旬に売り出す「ファブリー」は、光にあたると空気中のにおいや化学物質などを分解する光触媒コート紙を箱に業界で初めて採用した。ティッシュ自体も高品質で、希望小売価格は普通の箱ティッシュの5〜6倍の1箱367円。「置いておけば、部屋のにおい対策にもなる」とPRする。
保湿性が高い「鼻セレブ」(04年発売、1箱の実売価格250円前後)で高級品市場を開拓したのは王子ネピア。同社が今年2月、3枚重ねティッシュにアロマオイルを含ませ、箱も浮き彫り加工などで豪華にした1箱1500円の「超鼻セレブ」を2箱3000セット限定でインターネットで売り出すと即日完売した。
「鼻セレブブランドを高めるための一種のPR」(担当者)で再販売の予定はないが、完売後も問い合わせが殺到するなど反響は大きかった。今年の花粉症の季節で「不動の地位を築きたい」と同社は鼻セレブに期待を寄せる。
大王製紙は、鼻かみ用に使われることが多かった高級品にそれ以外の用途が増えているとの自社調査結果に着目。化粧などに使いやすくしようと「エリエール ローションティシュー」に肌触りをさらに良くした新たな保湿成分を加えた「ヒアルロン酸プラス」を投入した。想定価格は従来品と同じ約280円だが、中身は200組(1組2枚)から180組に減らした。
普通の箱ティッシュの実売価格は各社の生産拡大やデフレ下での販売競争で06年前半には5箱200円程度まで落ち込んだ。原・燃料高などを受けて06年後半以降、各社は値上げを進めるが、各社の家庭紙事業の採算性は依然低い。そこで「購買意欲をかき立てる高付加価値品の投入で適正価格への引き上げをめざす」(酒井一裕クレシア社長)。売上高に占める高級品の割合は「まだ数%程度」(王子ネピア)だが、期待は大きい。