米国のアカデミー賞のメーキャップ賞にノミネートされながら、惜しくも受賞を逃した辻一弘さん(37)は京都市出身。少年時代、「スター・ウォーズ」で映画の世界に引きつけられ、単身、米国に渡って11年。京都市内に住む母の敬子(ひろ・こ)さん(63)は「米国で苦労もあったと思うが、ここまでよくやった。ノミネートされるだけでも十分。これからも頑張ってほしい」と息子を励ました。
辻さんは手先が器用で、少年時代からプラモデル作りなどが得意だった。敬子さんが捨てようとした壊れた時計を分解して、中身を調べていたことも。細かいところまで何でも徹底してこだわった。
辻さんが特殊メークの道に進むことを決めたのは京都・平安高校時代。専門雑誌を参考にするなどして独学で特殊メークを学び始めた。その時から敬子さんに「将来、アメリカに行きたい」と打ち明けていた。96年に渡米し、著名な特殊メーク・アーティスト、リック・ベイカーさんの工房に所属し、技術を学んだ。
「もしも昨日が選べたら」は昨秋に日本でも公開された。俳優が年齢を重ねて老けた姿をリアルに仕上げるのが難しかったと語っていた。
これまでに「グリンチ」「PLANET OF THE APES 猿の惑星」など数々の映画にかかわった。辻さんは以前、仕事で最も大切なのは「努力することと、自分らしさを生かすことだ」と語っていた。