調査委員会に出席した宇和島徳洲会病院の万波医師(奥)と貞島博通院長=3日午後、大阪市東淀川区で
調査委員会で、ホワイトボードを使って説明する万波誠医師
大阪市内での会合後、記者会見した同病院の貞島(さだしま)博通院長らによると、この日の委員会では、同病院で実施された11件の病気腎移植の医学的妥当性を調べてきた専門委員から「不適切な移植だった」とする意見が出たことを受け、万波医師から意見聴取した。万波医師は「患者と向き合っており、教科書を見て治療しているのではない」などと、患者本位の医療行為を強調したという。
調査委は、病院に倫理委員会が設置されておらず、書面でのインフォームド・コンセント(説明と同意)もなされていなかった点について、「病院と万波医師に問題があった」と指摘する一方、現在は手続きの面で体制が整ったと評価。一部メンバーからは、がんに侵された腎臓の移植について「医師一人の判断で行うのはおかしい」などの反対意見もあったが、「臓器提供者(ドナー)不足や透析患者の負担を考慮すれば、患者の選択権を奪うことはできない」との結論に達した。
さらに、調査委は11件のうち同病院で腎臓が摘出された6件についても検討。患者に複数の治療法が説明されていたことなどを理由に、3件について「摘出は適切だった」、残る3件も「容認できる」との判断を示した。
ただ、病院側としては、現在中止している病気腎移植を再開する予定はなく、学会のガイドラインがまとまれば、それを尊重するとしている。
病気腎移植は同病院での11件を含め、これまでに42件が表面化している。同調査委は、万波医師が執刀した患者らによる臓器売買事件が昨年10月に発覚したことを受けて設置されたが、調査の過程で病気腎移植が表面化。外部の移植医らでつくる専門委員会を設けて検討を進めていた。
http://www.asahi.com/national/update/0303/OSK200703030053.html