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2007年03月03日(土) 00時00分

絶滅危機ツル導き1900キロ 超軽量機で朝日新聞

 絶滅の危機にある北米のアメリカシロヅルを救うため、非営利組織「渡り計画(オペレーション・マイグレーション=OM)」が、越冬地への渡りを助けている。超軽量飛行機で鳥を先導する手法で、昨年末に初めて一羽残らず無事に送り届けた。その後の竜巻で大半を失う悲劇にも見舞われたが、3月には新たな渡りへ向けた準備を始める予定だ。

 渡りの支援は01年に始まった。「06年組」の18羽は昨年10月、米北部のウィスコンシン州を出発し、2カ月かけて1900キロ離れたフロリダ州西部の保護区に到着した。

 ところが、2月2日未明、フロリダ州を襲った竜巻で、17羽が死んでいるのが見つかった。

 アメリカシロヅルは40年代に個体数が20羽程度まで減り、カナダからテキサス州アランサス周辺に渡って冬を過ごすのが唯一の野生の個体群になった。一カ所での越冬は、災害や伝染病の影響による絶滅の危険がつきまとう。渡りの手助けはフロリダにも別の越冬地を確保するのが目的だ。

 春先、卵に飛行機のエンジン音を聞かせる「すり込み」から始め、ひなの世話をする際は人の姿を見せないよう白い着ぐるみを利用した。鳥たちは冬に一度、飛行機に誘導されて南に渡ると、次からは自力で渡るようになるという。

 現在、北米では約500羽まで増えたが、フロリダ周辺は約60羽にとどまる。フロリダで卵を産むつがいが25組以上になれば、手をかけずに群として持続するとみられている。

 OMのジョセフ・ダフ共同代表(57)は「自然の渡りでも、目的地にたどり着くのは3割程度とされる。それだけにその後の喪失は大きかった。改善の余地はあり、手助けを続ける」と話した。

http://mytown.asahi.com/usa/news.php?k_id=49000000703010007