今回逃げたものと同じ種類の遺伝子組み換えマウス=実験動物中央研究所提供
文科省によると、今回のマウスは、免疫にかかわる重要な細胞を持たないように遺伝子を組み換えてある。人間の白血病の研究などに使われるもので、シンガポールに輸出するため同研究所が1月23日、40匹を5匹ずつ八つの箱に入れて成田空港の動物室に搬入した。
翌日、飛行機に積み込もうとしたところ、作業員が輸送箱から逃げ出したマウス1匹を動物室内で見つけ、捕まえた。箱の一つに穴が開いており、マウスが箱を食い破って出たらしい。
動物室には40匹のほかにマウスはおらず、逃亡中に交尾した可能性は考えられないという。また人間の病気の病原体は持っていないという。
同研究所はマウスを逃がさないよう箱の内側に金網をつけることにしているが、今回の箱にはついていなかった。文科省は、箱を組み立てる手順書などに問題があったとみて、改善を指導した。
遺伝子組み換え生物は、生物多様性条約カルタヘナ議定書に基づく国内法(カルタヘナ法)で規制されている。
文科省によると、神奈川県小田原市の明治製菓微生物資源研究所で05年、遺伝子組み換え微生物を含む培養液が敷地内に漏れたことがあるが、動物の逃亡は04年の同法施行以来、初めて。
http://www.asahi.com/national/update/0302/TKY200703020330.html