女性誌ではかつて、83年5月23日に「ViVi」(講談社)、「LEE」(集英社)、「Free」(平凡社、後に休刊)が同日創刊した例がある。
今回にぎやかなのは40代向けだ。「Precious」(小学館)や「STORY」(光文社)などの既存誌に、働く女性が対象の「marisol」と、優雅さを前面に出す「GRACE」が挑む。
女性誌戦略の見直しも大きな特徴だ。3誌の中では「marisol」がもっとも大胆な役割を担う。集英社は同誌の創刊を前提に40代向けの「メイプル」を昨年休刊にしたからだ。
有力出版社は年代別に女性誌を配置している。「ライン」と呼ばれ、出版社はここに主婦向け、働く女性向けなどと一貫性をもたせ、さらにファッションなどの好みや方向性もそろえることで自社の雑誌に読者を囲い込もうとする。これによって読者層が明確になり広告も集めやすくなる。だが、必ずしもこの思惑通りにならないこともある。
「メイプル」の場合、暮らし関連の情報を求める女性とファッション志向の強い働く女性が読者に混在。広告収入は順調で「休刊はもったいない」という声もあったそうだが、ラインを明確にするため「将来を見すえて踏み切ることにした」(大塚寛取締役)という。「marisol」は、20代後半の働く女性を読者に持つ「BAILA」の上に位置する。
また、「GRACE」は、50代の読者が多い「家庭画報」と20代後半〜30代向けの「MISS」の2誌をつなぐ存在。世界文化社の女性誌ラインを強化する役割を担うことになる。
一方、「AneCan」は、好調な「CanCam」のお姉さん版で、20代後半がターゲット。小学館の新しいラインづくりの第一歩だ。
同社には20代から順に、働く女性を読者に持つ「CanCam」「Oggi」「Domani」「Precious」というラインがある。「Oggi」はスーツなどコンサバティブな服を紹介してきたが、最近はカジュアル派も増え、年齢を重ねても「CanCam」を読み続ける傾向につながっているという。
そんな人たちの受け皿と想定されているのが「AneCan」で、創刊3誌の中では最も多い30万部でスタートを切る。女性誌編集局の桶田哲男執行役員は生き方やファッション志向の違いを反映した「ラインの太い幹を2本つくりたい」と話す。
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200703020268.html