県民生活課によると、障害者からの相談は2002年度から減少していたが、昨年度から再び増加に転じた。「会員を紹介すればもうかる」と多額の契約を迫るマルチ商法や、メールなどで商品を注文したのに届かなかったという相談が多い。
30代の聴覚障害者の男性は昨年10月、知人に誘われたセミナーに出席。無料会員制のオンラインゲームを他人に紹介し、加入すればマージンが入るというマルチ商法に32万円で入会した。セミナーには手話の通訳がおり、ほかにもたくさんの聴覚障害者がいて信用したという。
しかし、詳しい契約内容の説明や契約書の控えもなく、県民生活プラザに相談。クーリングオフで契約を解除した。
30代の知的障害者の女性は、電話で業者に呼び出され、「仕事に成功し、収入が得られる」と説明され、128万円の能力開発プログラムを契約。また、30代の精神障害者の男性は昨年5月、友人から紹介された通信販売業者に「パソコンを作ってあげる」と言われ、15万円を支払ったが、納品されなかった。
本年度に相談のあった68件の契約金額は平均130万円で、最高1600万円。すでに支払った金額は平均42万円、最高は350万円。障害者は仲間意識が強く、知人から紹介されると正しいと思い込み、表面化もしにくいという。
マルチ商法は契約日を含め20日以内、電話で呼び出すなどして商品購入を迫るアポイントメントセールスは同8日以内であれば、契約解除が可能。
県民生活課の担当者は「親しい人からの誘いでも断る勇気を持ち、もう一度、冷静に考えること。契約を迫られても、即決せず、その場で契約書を書かないで」と話している。相談や問い合わせは、県消費生活相談=電052(962)0999=へ。
(山本真嗣)
http://www.chunichi.co.jp/00/ach/20070302/lcl_____ach_____002.shtml