パート加入の拡大は、安倍首相が再チャレンジ支援策の一環として今国会への法案提出を指示。厚労省は今回の方針をもとに与党との最終調整に入るが、国会日程上、今国会での成立は難しいともみられている。
厚労省案では、月収について(1)現在の厚生年金の下限である9万8000円(年収117万円)以上(2)配偶者控除を受けている主婦が保険料を負担しないで済む8万6000円(同103万円)以上(3)厚生年金下限の4分の3の7万4000円(同88万円)以上——の3案を提示。与党と調整し、どの金額にするかを決める。(1)では40万人、(2)は80万人、(3)は150万人のパートの加入増が見込まれる。「従業員数300人以上の企業に限る」という条件を(1)に加える案もあり、この場合の加入増は16万人にとどまる。
保険料負担で手取り収入が減ることへの主婦層の抵抗感も強く、参院選を控えた与党は対象者をできるだけ限定したい考え。一方、社会保障審議会年金部会(厚労相の諮問機関)では「パートに頼る企業だけが、保険料負担を免れるのは不合理」など対象範囲を広げるべきだとの声が多い。条件を厳しくすれば「パートの老後保障」という当初の狙いから遠ざかり、実効性が問われそうだ。