東京都の羽村市動物公園で、すでに絶滅した可能性が高いニホンカワウソとみられる剥製(はくせい)が見つかった。100年以上前に作られたとみられ、園は一般公開を始めた。赤尾寿允(ひさのぶ)園長は「これ以上、絶滅危惧(きぐ)の動物を増やしてはならないというメッセージや命の大切さを伝えたい」と話している。(塩原賢)
ニホンカワウソとみられる剥製は、体長約120センチで、剥製が載っている台の裏側には「明治40年3月18日購入 31円」と書かれていた。園によると、国内で剥製作りが始まって間もないころという。
都立立川高校から05年6月、ツシマヤマネコやオガサワラオオコウモリ、ニホンアシカとみられる剥製約300点とともに寄贈されたもので、傷みが激しく、園が修復作業を進めていた。
同時に、国立科学博物館の研究員に鑑定を依頼。このほど、「ニホンカワウソの可能性が高い」との回答を得た。ただ、確定させるにはDNA鑑定が必要という。
国内には、愛媛県立博物館などに計数十体の剥製があり、園は「連絡を取り合って、DNA鑑定をしたい」と意欲的だ。
ニホンカワウソは国の特別天然記念物に指定されているが、75年に愛媛県宇和島市沖の海岸で衰弱しているところを保護されて以来、目撃情報もほとんど無く、絶滅した可能性が高いとされる。
赤尾園長は「日本の宝だ」と話しており、要請があれば各地の動物園や水族館にも貸し出すという。
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