同省は昨年三月の改定通知で、要支援と要介護1の高齢者について「心身の状態を見て使用が想定しにくい車いすや介護ベッドなどは原則として貸与費を算定できない」とし、同四月から貸与を原則認めない方針を打ち出した。同九月までの経過措置期間を置いて、翌月から全面施行した。
福祉用具貸与の保険給付費は、一昨年秋から要支援が毎月ほぼ九億円台で推移してきたが、経過措置が切れた昨年十月は一気に約四億六千万円まで急減。要介護1は一昨年秋から制度改定前の昨年三月まではほぼ三十八億円台だったのが、改定後の四月から減り始め、九月は約十九億九千万円とほぼ半減。十月には約七億七千万円に落ち込んだ。介護ベッドなどを借りられなくなった人の多くは、中古品の購入や自費で借りて対応したとみられる。
制度改定は、膨らみ続ける保険給付費の抑制が狙いで、同省は、自治体などから「必要ないのに便利だからと車いすや介護ベッドを使ったり、要介護度が軽くなったのに借り続けている」などの指摘があったとする。
だが「これまで使っていたものが突然なくなるのは困る」という高齢者の苦情が自治体に殺到。
同省の実態調査でも、要介護度は軽くても病気などを理由に介護ベッドが必要な人が多いことが判明したため、これらの人に対し、医師の意見や適切な介護計画があることなどを条件に、同省は来月から、「例外的」給付を認める方針を打ち出した。
東京都によると、寝返りや起き上がりのできない人への限定的貸与となった介護ベッドへの要望が強く、都は制度改定時の昨年三月現在でベッド貸与を受けていた人が買い取るための、十万円までの助成措置を実施。都内では台東区や調布市など十区市が、何らかの貸与費助成をしている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070301/eve_____sya_____000.shtml