環境省は、航空機による騒音の評価方法を、34年ぶりに変更する方針を固めた。
これまで日本独自の評価方法を採用してきたが、成田空港で2002年に暫定平行滑走路を供用後、この滑走路と既存の4000メートル滑走路を合わせた騒音の測定値が、計算誤差から片方の測定値より低くなってしまう「逆転現象」が起きていた。世界で主流の「Lden」という評価方法に変更する予定で、1日午後に開かれる中央環境審議会に諮問し、航空機騒音の許容値を定めた環境基本法の環境基準とともに、年内をめどに改正する方針だ。
現在の評価方法は、国際民間航空機関(ICAO)が提唱した評価方法を日本が独自に簡略化した「うるささ指数」(WECPNL)。離着陸時の騒音がピークになった瞬間の測定値から全体の騒音を推定する評価方法で、1973年から使われている。
しかし、成田空港では滑走路が増えたのに、評価上は「静かになった」とする計算結果が出るなど、逆転問題が浮上し、住民らが抗議していた。
これを受けて、同省などが成田空港内外の100か所以上で調査したところ、現行の評価法では、Ldenと比べて騒音を低めに評価してしまう場所が約20か所あることが一昨年、判明した。Ldenは、短時間ごとの騒音を足し合わせて全体の騒音エネルギー量を測定するため、騒音をより正確に評価できる。同省では「新手法導入で環境基準は若干厳しくなる上、住民の実感により近い評価も可能になる」としている。