毎日新聞社会部の記者が、国民新党の糸川正晃衆院議員に無断で録音した取材データを第三者に渡していた問題で、この第三者が元暴力団組長で画家に転身した山本集氏であることが分かった。山本氏はなぜ取材データを借り、それがインターネットに流出したのか。山本氏を直撃した−。
「弟、息子みたいに大事にしていた」
山本氏は、取材データを受け取った毎日新聞の大平誠記者(41)についてこう語る。
昨年1月、大平記者は東京・南青山の土地取引疑惑を1面トップで報じた。山本氏と大平記者は約15年前からの知り合い。山本氏は1989年に組を解散していたが、米投資ファンドの子会社が行った土地取引に暴力団関係者が関与したという疑惑だったため相談に乗っていた。
記事掲載の約1週間後、米投資ファンドは毎日新聞を相手取り約1億ドル(約115億円)の賠償請求訴訟を起こす。
その後、糸川議員に脅迫事件が発生した。大平記者は糸川議員に一連の経緯を取材、この様子を無断でICレコーダーに録音していた。
社内で厳しい立場にあった大平記者を心配した山本氏は、あることを思いついた。それがデータの横流しだったという。
「国会議員が脅された。こんなもん、ただで済まされる問題ちゃうがな。大平君が会社で本線(主流)から外されたと聞いたから、『なんでやねん』と。頭にきたから、レコーダーを、もっとよそが騒いだら問題になる。大平君のやったことが間違ってなかったことを(証明できる)、毎日新聞も『大平君、すまなかったなあ』とやってくるやろと(思った)」
そこで、インターネットでブログを開設しているジャーナリストにレコーダーを渡した。
ところが、大平記者はネット上に録音データをもとにした内容が掲載されたことを知ると、山本氏に「すぐ消してほしい。そうでないと私は死んで関係者にわびを入れる」とのメールを送ってきた。「死なれたらあかん」と思った山本氏は土下座して削除を求めたという。
「これだけ重大なこととは、あいつが死ぬの生きるのと言ったときに、初めて思ったんや」
山本氏の怒りはいまだ収まっていない。
「この件で一番カネを儲けたりした政治家を放っておくようやったら、俺は日本のマスコミは一切信用せん。俺が矢面に立ってやったろうかという気になりまっせ」
そして、最後にこうブチかましてくれた。
「やくざやめても男やめてへんねん!」
ZAKZAK 2007/03/01