東京電力柏崎刈羽原発1号機(新潟県)で1992年2月、国の定期検査の準備のため出力降下中だった原子炉が、蒸気の流れを切り替える弁の不具合で緊急停止したにもかかわらず、東電が事実関係を国に報告しなかったことが、28日分かった。
原子炉等規制法の報告義務違反の可能性が高い。運転日誌には、安全に停止したと記載されていたことから、意図的な隠ぺいだったとみられる。
緊急停止の隠ぺいは、85年11月、福島第2原発1号機(福島県)でも行われていた。やはり定期検査に向けて、原子炉の出力降下中だった。
東電はデータ改ざん問題で社内調査を続けており、新たな証言からこの2件の隠ぺいが判明した。1日、経済産業省原子力安全・保安院に報告する。
柏崎刈羽原発1号機では、同じ92年の定期検査で、緊急炉心冷却装置の一部が故障していたにもかかわらず、国の検査官の目をごまかして検査に合格したことが既に判明している。この検査妨害と緊急停止の隠ぺいは、いずれも同原発の発電部長の指示だった疑いが強いことも明らかになった。