開店前、詰めかけた買い物客にあいさつをする近鉄百貨店京都店の岩崎店長=28日午前9時57分、京都市下京区で
午前10時の開店直前、入り口に並んだ客を前に、岩崎雅明店長が「87年の長きにわたるご愛顧を考えると胸に詰まるものがあり、感謝の言葉もございません。最後の一日、従業員一同、感謝の気持ちを持って精いっぱい務めさせていただきます」とあいさつし、列を作った客の一人ひとりに、店員が京都店の歴史を紹介する記念の絵はがきを手渡した。営業は午後8時に終える。
開店の1時間前から待っていた同市下京区の無職橋本勉さん(75)は「時代の流れとはいえ、長年親しんできた店がなくなるのは、やはり寂しいです」と話した。
同店は1920(大正9)年に京都物産館として創業。31年からは丸物百貨店に名前を変え、77年に近鉄グループの傘下に入った。売上高は96年度に475億円に達したが、97年開業のJR京都駅ビルに伊勢丹が出店した後は減り、04年度には254億円になっていた。00年に、無印良品やソフマップなどの専門店を入れて、てこ入れを図ったが、客足は回復しなかった。
店で働く社員約170人は近鉄百貨店のほかの店に異動する。
JR京都駅西側のビルには、ビックカメラが今夏に開店予定。駅南側にも映画館などを備えた大型商業施設の計画が進んでいる。