東証は既に、旧経営陣を含む日興の幹部らから聞き取りを実施。不正会計が利益水増しを狙った意図的なもので、旧経営陣の一部が関与したとの認識を強めている。
証券市場の担い手である証券会社の不正で、市場の信頼性に与える影響も大きいと判断したもようだ。
東証は昨年十二月十八日、日興が発表した決算の自主訂正が上場廃止基準の「虚偽記載」に当たる可能性があるとして、日興株を監理ポストに割り当てた。
虚偽記載を理由に東証が上場廃止にした最近の例では、〇四年の西武鉄道、〇五年のカネボウ、〇六年のライブドアなどがある。
日興は、野村グループ、大和証券グループに次ぐ国内三位の証券グループ。個人向け取引中心の日興コーディアル証券、米金融大手シティグループとの合弁会社で、法人向け取引専門の日興シティグループ証券などを傘下に持つ。
不正会計問題は、日興の投資子会社と特別目的会社(SPC)との間で不正な金融取引を行い、SPCを連結対象から除外して投資子会社側の利益だけを決算に計上。〇五年三月期のグループ連結経常利益を本来より40%以上も水増しした。〇六年三月期も不適切な会計処理が行われた。
金融庁は今年一月、有価証券報告書に虚偽の記載をした上、これを基に五百億円の社債を発行して投資家に買わせたとして、日興に五億円の課徴金納付を命じている。
東証は二十八日、「三月中旬をめどに結果を発表できるよう審査を進めており、現時点では結論の方向性は一切持っていない」とのコメントを発表。
日興も同日、子会社の証券会社が預かっている顧客資産について「上場維持・廃止にかかわらず確実に保全され、取引も通常通り行われる」とコメントした。
<メモ>上場廃止 株式市場に上場している企業が廃止基準に該当した場合に、証券取引所が上場を取り消すこと。基準は各取引所が定めており、債務超過の状態が続いたり、決算を記した有価証券報告書に虚偽記載をして投資家などに大きな影響を与えたりした場合は該当する。廃止が決まった株式は「整理ポスト」で売買できるが、同ポストへの指定から1カ月後に廃止される。
その後は取引所では売買できないが、証券会社などを通じて売買できる。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20070228/eve_____kei_____002.shtml