上場廃止に向け、最終調整が進む日興コーディアルグループ。廃止のきっかけとなった不正会計問題では、昨年12月から1月にかけて2回も決算修正を行ったが、なおも1000億円規模の損失が隠されている疑惑が残されている。
日興問題の追及で独走しているジャーナリストで夕刊フジコラムニストの町田徹氏はあす3月1日に発売される月刊『現代』4月号で、「新疑惑浮上! 1000億円特別損失の『無反省』」とするリポートを発表する。
日興の子会社「日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)」は2004年夏以降、子会社の「NPIホールディングス(NPIH)」を通じて、コールセンター大手「ベルシステム24」を買収した。その過程で、NPIHがNPIにベル社株を使った債券(EB債)を発行。その債券の発行日を操作し、不正に水増しした利益を連結決算に取り込む一方、NPIH側に発生した損失は日興グループの連結から外す「いいとこ取り」を行っていた。
日興は昨年12月、証券取引等監視委員会の指摘を受けて05年3月期の利益水増しを一部認め、決算を訂正した。
これに対し、町田氏は同誌3月号で、「06年3月期にも約300億円の利益水増しがあった」ことなどを指摘。
この利益水増しについては日興も認め、1月に2回目の決算訂正を行った。
さらに町田氏は同誌の最新リポートで、NPIHが完全子会社化したベル社と、ベル社が以前買収したコールセンター会社「BBコール」をそれぞれ日興コーディアルグループの連結対象に加えていない点を問題視。「ベル社の純資産額は簿価から7割以上、BBコールも6割以上下落しており両社の株式は減損処理(別項参照)の対象となる。帳簿価格との差は2社合計で1071億円」(町田氏)と指摘している。
ベル社、BBコールのように非上場企業の株式は、それぞれの企業の純資産額をもとに評価される。そのため、純資産が目減りすると株式の価値も減り、減少幅が一定以上になると、減損処理をする必要がある。
ちなみに、日興の06年3月期の当期純利益は879億円。もし減損処理で1000億円の特別損失が出ていたら、日興は赤字に転落していたことになる。
【減損処理】
保有する有価証券の価値が取得原価から50%以上下がった場合、合理的な反証がない限り、帳簿上の取得原価を修正し、評価差額を当期の損失として処理しなければならないと定めた会計上のルール。
ZAKZAK 2007/02/28