名古屋市発注の地下鉄工事をめぐる談合事件で、対象工事を受注した共同企業体(JV)幹事社5社のうち、準大手ゼネコン「ハザマ」(東京都港区)が、改正独禁法に基づいて談合を「自主申告」していたことが、関係者の話でわかった。
公正取引委員会は28日、最初に自主申告した企業の告発を免除する制度を適用する方針を確認したとみられる。
ハザマを除いた幹事社4社と、談合の仕切り役が支店顧問だった「大林組」(大阪市)の計5社を、独占禁止法違反(不当な取引制限)で検事総長に刑事告発した。これを受けて名古屋地検特捜部は、談合にかかわった5社の営業担当者らを逮捕する。
大林組以外で告発されたのは「鹿島」(東京都港区)、「清水建設」(同)、「前田建設工業」(千代田区)、「奥村組」(大阪市)。同法違反でゼネコンが告発されるのは初めて。また、自主申告により刑事告発が免除されるのも初めて。
関係者によると、ハザマは昨年12月、公取委が名古屋地区のゼネコン支店関係者に対し、独占禁止法違反容疑で任意の事情聴取を開始したことから、自主申告を決めたという。
ハザマは、告発対象となった名古屋市営地下鉄6号線(桜通線)延伸工事の5工区のうち、昨年2月8日に入札が行われた「鳴子北駅」工区を19億5000万円で落札した。公取委は、この工区を含む5工区の入札をめぐり、談合の仕切り役とされる「大林組」名古屋支店元顧問・柴田政宏被告(70)(別の競売入札妨害事件で公判中)が各幹事社から意向を聞き、受注調整していた疑いが強いとみていた。
告発の免除は、立ち入り検査や捜索が行われる前までに、公取委に違反行為を報告した資料を提出した最初の1社だけに認められる。
公取委の改正独禁法運用指針では、申告内容に虚偽があるような場合、告発の免除は受けられないが、公取委は、ハザマの申告は要件を満たすと判断したとみられる。
自主申告に基づく課徴金減免は、旧首都高速道路公団(現首都高速道路会社)発注工事をめぐる談合で、昨年9月、三菱重工など3社に初適用された。