東証2部に上場していたIT関連企業「アイ・エックス・アイ(IXI)」(大阪市淀川区、民事再生手続き中)の粉飾決算事件で、大阪地検特捜部は28日、証券取引等監視委員会と合同で、IXI本社や取引先など十数か所について、特別背任や証券取引法違反の容疑で捜索を始めた。
IXIは昨年3月、架空取引によってつくりだした業績を背景に公募や第三者割り当ての増資を行い、約50億円を調達していたことも判明。特捜部や監視委は、資金調達のため粉飾決算をしていた可能性もあるとみて、関係者から事情聴取を進める。
ほかに捜索を受けたのは、日本IBM大阪事業所(大阪市西区)や金融会社「東京リース」(東京)、IXIの元常務の自宅など。
調べや関係者によると、取引の形態は、日本IBMがコンピューターソフトウエアなどを東京リースに発注し、東京リースは複数の別のIT企業に一部を下請け発注、これらをIXIが取りまとめ製品化する。IXIは日本IBMが東京リースに支払う債務を引き受ける契約だったが、実態は、IXIや別のIT企業との間で帳簿上だけ製品が転売される架空循環取引を繰り返していた。
この手口で売り上げを水増しした有価証券報告書を近畿財務局に提出した疑いが持たれている。架空循環取引は昨年破たんし、約103億円が簿外債務として残ったことから、元常務ら4人については、この損害をIXIに与えた特別背任容疑も持たれている。
架空循環取引は2003年から始まり、05年から本格化したとされ、06年3月期の売り上げは401億円に拡大。業績に比例するように、株価も上昇傾向を維持し、昨年1月には119万円の高値を記録した。
こうしたなか、IXIは昨年2月の取締役会で、公募による増資と、親会社を引受先とする第三者割当増資を決定し、各4000株を発行。発行価格は1株約60万円で約50億円を調達し、関連会社の航空機購入や財務体質の強化に充てたという。