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2007年02月27日(火) 00時00分

「資源国有化で富戻す」ボリビア大統領会見朝日新聞

 来月5日から訪日するボリビアのモラレス大統領(47)が23日、ラパスの大統領公邸で朝日新聞など日本メディアと会見した。自らが進める天然資源の国有化について、「外国企業に奪われ続けてきた母なる大地の富を、我々の手に取り戻す動きだ」と強調。日本企業の投資については「パートナーとしてボリビアの基準を守るなら、だれでも歓迎だ」と期待を示した。

 モラレス氏は人口の大半を先住民が占めるボリビアで、06年1月、先住民として初めて大統領となった。資源国有化政策について、「豊富な鉱物資源を持ちながら工業化は進まなかった。途上国のままで、資源を奪われただけだった」と振り返り、「経済的利益をあげることで悲惨な貧困を克服したい」と述べた。

 一方で外国企業の設備の接収を否定。「国と企業で対等な関係を結ぶ。新たな国有化のモデルだ」と話した。

 対日関係については、教育、保健分野での援助に特に感謝を示し、「『人間の安全保障』の面で我々は一致している」と述べた。

 また京都議定書の批准で日米が異なる対応をしていることを指摘して、「我々は、危機に瀕(ひん)した地球と人命を守るために、協調して米国に対抗できる」などと話した。

 左傾化が進む南米で、モラレス氏はベネズエラのチャベス大統領と並ぶ反米強硬派とみなされている。南米各国で社会格差を拡大したとされる新自由主義路線については「人々の生命や社会に問題をもたらした」と批判。「家庭の父親と同様に、国民への責任がある。アンデス山脈の農村の共同体を守る政治をしたい」と述べた。

 一方で「社会主義、共産主義と呼ばれるが、我々は人道主義者だ。社会問題を解決するために最適なモデルを模索しているのだ」とも述べた。

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 〈キーワード:ボリビア共和国〉 南米中央部の内陸国。人口約918万人で、混血を含めると8割以上を先住民が占める。1人あたりの国民総所得は約1000ドルで南米の最貧国の一つ。主な輸出産品は金、亜鉛、スズ、天然ガスなどの天然資源。

http://mytown.asahi.com/usa/news.php?k_id=49000000702270006