民主党は27日、今国会に提出する格差是正緊急措置法案の骨格をまとめた。
最低賃金を全国平均で時給1000円へ引き上げることやパート労働者に対する差別禁止を盛り込んだ。夏の参院選に向けて、安倍政権との違いとして、格差問題に積極的に取り組む姿勢を示すのが狙いだ。しかし、最低賃金引き上げは中小企業の負担増につながるため、実現性を疑問視する向きもある。
小沢代表は同日、大津市で記者会見し、「小泉内閣以来、日本社会のあらゆる分野で格差が急速に進んでいる。このままでは日本社会そのものが崩壊してしまう。(格差是正を)最大の政治的なテーマとして掲げていく」と強調した。
法案は格差是正プロジェクトチーム(座長・三井辨雄「次の内閣」厚生労働担当)が27日、まとめた。次の内閣の了承を経て、3月上旬に国会に提出する。
同法案は、パート労働者の処遇改善を打ち出したのが最大の特徴だ。具体的には、最低賃金法を改正し、全国平均で時給1000円を目標に引き上げることを盛り込む。最低賃金は現在、最高の東京は719円、最低は青森など4県の610円となっており、大幅な引き上げとなる。
パート労働者など非正規雇用者の待遇を改善するため、「同一価値労働・同一賃金」の原則を打ち出し、短時間労働を理由とする差別を禁止する。事業主が正社員を採用する際は、非正規で雇用している人を優先的に採用するよう努力義務を定めている。
このほか、〈1〉募集・採用時の年齢差別の禁止〈2〉障害者自立支援法に基づく福祉サービス利用料の1割負担の凍結——などを明記した。
政府も最低賃金を引き上げる最低賃金法改正案の国会提出を予定している。しかし、最低賃金が生活保護費を下回ることがないように求める内容にとどまる見通しだ。民主党としては、最低賃金の大幅引き上げを目指す姿勢を見せることで、「弱者」により配慮する姿勢をアピールする狙いがある。
だが、民主党案に対する懐疑的な見方もある。みずほ総合研究所主任研究員の堀江奈保子氏は「民主党案の時給1000円は理想だが、企業にとってかなりの負担となり、現実とかけ離れている」と指摘した。