医療事故・事件の届け出・立件数
警察庁によると医療事故の届け出は近年急増。遺族ら被害者側からも含めて03年以降、全国で200件を超え、05年の立件数は91件にのぼる。
医師法21条は、死体に「異状」があると認めた場合、24時間以内に警察に届け出ることを医師に義務づけている。事件としての捜査が優先されるため、再発防止などにつながらないとして、医療界などから専門機関による原因究明を求める声が高まっていた。
厚労省はまず専門機関のあり方や運営主体などについて論点を整理、3月中に素案を作る。専門機関による調査の公正性確保には公的機関の関与が不可欠として、運営主体には自治体や公益法人を想定。メンバー構成や調査権限を詰めている。
そのうえで新年度早々には、制度のあり方を論議する検討会を発足。検討会は医療関係者や患者団体代表、法律家、法務省、警察庁関係者らで構成する方針だ。医療紛争を裁判以外で解決する制度導入の是非も併せて検討してもらうという。 また医師法21条には異状死の詳細な定義は示されておらず、各医療機関が独自に判断しているのが実情だ。このため厚労省は、異状死の定義など医師法21条のあり方や解釈についても法務省や警察庁と協議。異状死の届け先を警察以外にするなどの医師法改正も検討しているが、法務省などは、どんな専門機関ができるかわからない段階での論議には慎重な姿勢とみられる。
調査対象となる死亡事故は「全国各地で相当多数に上る」と厚労省はみており、予算確保に加えて、調査する専門家らを恒常的にどう確保するかなども課題だ。
厚労省は新制度について、「患者や遺族にとっても、事実を検証し、公正な情報を得ることができるため、医療の透明性が高まる」としている。
http://www.asahi.com/national/update/0225/TKY200702250266.html