記事登録
2007年02月26日(月) 00時00分

不要な本上手に循環朝日新聞

 アート、ファッション、建築など創造力あふれる業種が集まる渋谷区代官山エリア。そこに在籍する企業や事務所などで不要になった本・雑誌を提供してもらい、カフェなどに置く活動が広がっている。「いずれは代官山で店を」といった希望を持つ“クリエーターの卵”が手に取り、将来に役立ててほしい、というのが主催者の狙いだ。
(大波綾)

 活動は、代官山で本を回し読みする思いを込めて、「BOOK AROUND DAIKANYAMA」と名付けた。代官山でTシャツのリサイクルなどに取り組むNPO「フレンドリーデーインターナショナル」が主催している。

 代表の藤田香織さん(27)は代官山にいてずっと気になっていることがあった。デザイナーやカメラマンの事務所らしきところから本や雑誌がゴミに出されると、1冊、2冊と抜き取られていくのだ。「クリエーターを目指す若い人たちが持っていくのでは」とにらんだ。

 藤田さん自身、大学で美術を専攻し、画集や写真集などの単価が高い本が欲しくても手に入らない悔しさを実感している。「高価な本が捨てられているなんてもったいない」と、不要になった本・雑誌をリユースし、若い人たちに還元することを考えた。

 ボランティア4人と一緒にデザイン、建築、ファッションなど代官山に在籍する企業や事務所の業種別リストをつくり、電話で事情を説明。一方で、回収した本や雑誌を置いてくれるカフェなどの店舗を探した。

 「クリエーターの卵への還元」なので、回収する本や雑誌はデザインや建築、美術、ファッション、環境などの分野にしぼった。これまで100以上の企業や事務所に声をかけ、約1割から回収。現在、カフェなど約20店舗に専用の箱を設置している。

 本や雑誌はその場で読むことはもちろんのこと、持ち帰ってもOK。「将来に役立ててもらえるなら、返却しなくてもとがめない」と藤田さん。代官山で新たな才能を開花させてほしいと、応援の気持ちが込められている。

 参加団体、店舗などの情報は活動記録のホームページ(http://www.friendlyday.org/book/)でわかる。

http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000702260002