ごみの不法投棄を防ぐため、クリークの手前に設置された鳥居=佐賀県東与賀町で
町の南部、有明海に面した干拓地には田畑が広がり、人家もまばら。このため、クリークにテレビや冷蔵庫といった廃家電、空き缶、木くずなどが捨てられることが多かったという。
週2回、町の監視員がパトロールし、「廃棄物処理法により罰せられます」と書いた看板を設置してきたが、効果なし。04年11月、町の担当者がインターネットで「ごみ捨て防止鳥居」を紹介したサイトに出くわし、「これだ」。すぐに10個を購入した。
角材をくぎで打ち付けて赤く塗っただけの簡単な作り。それでも威力はすごい。「神様の罰が当たるんじゃないかという心理をうまくついた商品。おかげで、設置した場所では不法投棄がピタリと止まった」という。風雨で塗装がはげたり、壊れたりもしたが、その後も町は鳥居の購入を続け、現在4カ所に置いている。
ミニ鳥居を製作しているのは、さいたま市の環境保全用品会社「ニューマテリアル」。03年4月に売り始め、全国100以上の自治体に納品しているという。価格は1個5000円。
加藤祥司社長(51)は「不法投棄は現場を押さえるのが難しく、捨てようとした時に効果的に思いとどまらせることができる」と自信をみせる。
ごみ問題に詳しい石川県立大の高月紘教授(廃棄物学)は「ごみを捨てる人の心理を突いている。ただ、地域全体がきれいなら、ごみは捨てにくいもの。捨てに来た時に防ぐやり方だけでなく、捨てる気を起こさせない方法を考えることも必要です」。