現行制度では、夫を亡くして遺族年金を受給していた人が厚生年金を受け取れる年齢に達するなどして両方の年金の受給権ができた場合、どちらかの年金を選択することを求められる。
9人の女性は95年から03年にかけ、東京都内の社会保険事務所に、高額な方の年金を選択することを申し出る書類を提出していた。しかし、事務所側が書類を放置し、年金の支払いを担当する社会保険業務センターに伝えなかったため、9人は受け取る年金の種類は変更されなかった。
4人はすでに受けていた年金額の方が多かったために実害はなかったが、5人は本来受け取れる額より少ない額しか受け取っていなかった。板橋社会保険事務所に00年5月に届け出た女性は、今年2月までの未払い額が239万円に達していた。5人分の合計は568万円。
東京社会保険事務局は9人に謝罪するとともに、5人には足りない分の年金額を近く支払う。今年4月には制度が改められ、本人からの届け出は不要となる。