血液のがんの一種、多発性骨髄腫(しゅ)などの治療薬として海外から大量に個人輸入されている催眠鎮静剤「サリドマイド」について、厚生労働省は個人輸入をする医師に、インターネットを使って薬の使用・管理状況、治療経過などを登録してもらい、安全に使われているか監視するシステム(SMUD)の運用を来月中旬にも始める。
サリドマイドを個人輸入するために必要な「薬監証明」という許可を厚生労働省から受けるために、SMUDへの登録が必要になる。薬の使用状況を一元的に把握でき、薬害の防止に役立ちそうだ。
SMUDは、厚労省の研究班(主任研究者=久保田潔・東京大助教授)が作り、東大病院にある「大学病院医療情報ネットワーク研究センター」が管理・運営を担当する。サリドマイドを処方する医師や薬剤師がSMUDに患者のイニシャル、生年月日、診断名、投与開始日のほか、副作用などについて入力する。
患者情報は、日本臨床血液学会に登録される。妊娠や重い副作用についての情報は厚労省に伝えられ、登録している医師らもSMUDを通して副作用情報を得ることができる。
厚労省は来月中旬にも同学会などを通じてシステムの運用を通知する予定で、約2か月の周知期間の後、薬監証明交付申請時にSMUDへの登録を証明する書類が必要になる。