入所者への虐待が浮上した千葉県浦安市の施設は、疑惑発覚まで県が存在自体を把握していなかった。虐待などの通報がなければ実態をつかめず、行政が立ち入り調査できない無届け施設はさらに多いとみられ、虐待などのトラブルを防ぐためには行政による実態の確認が急務といえそうだ。
自治体の担当者は「無届け施設を探し出すこと自体が難しい上、業者は『届け出れば多額の費用を伴う施設改修など行政指導を受けるのでは』と届け出をためらう例がある」と頭を悩ませる。
従来は高齢者十人以上の入所と食事の提供をする施設を有料老人ホームとし、届け出義務を課していたが、改正で人数の要件をなくし、食事以外のサービスをする施設も対象とした。
厚生労働省によると、二〇〇〇年には三百五十施設だったが、昨年七月には二千百四施設に急増している。
都道府県は改正法施行前後に市町村などを通じて新たに該当する可能性がある施設を調査。自治体間で差があり、最も多い沖縄は百十七施設、十府県は該当施設がなかった。
施行後に新たな要件に該当するとして届け出て手続きを済ませたのは二十五都道府県の三百九十一施設だった。
把握したのに無届けとなっている理由については「無届けでも良心的な施設がある。経営基盤が弱いなどの事情を抱えて届け出に踏み切れない」(神奈川)、「施設数が多く新たな要件に該当するかどうかの調査に手間取っている」(沖縄)などと説明している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070226/mng_____sya_____008.shtml