21日の上院で外交政策への賛成が承認に必要な過半数に達しなかったのは、想定外のハプニング。中道左派連合のうち上院議員38人の最左派3党は軍のアフガン駐留継続や米軍基地拡張に反対していたが、この日は賛成投票で合意していた。
にもかかわらず、結果は最左派から2人が棄権。その2票差で承認が葬り去られると、野党議員は総立ちで「総辞職だ」と連呼、議場は騒然となった。
9党で出発したプロディ政権は昨年5月の発足から与党内の意思統一に苦しんできた。上院での野党との議席差は2。重要法案ではことごとく、否決がそのまま総辞職につながる信任投票の手続きをとってきた。造反を抑え込むため、身内に可決か政権崩壊かを選ばせる「瀬戸際」戦術だ。
しかし、21日は合意が固いと見たためか、この手続きをとらず、従来の戦術に慣れた一部議員には事態の深刻さが伝わらなかったようだ。
首相は、支持者からも「カリスマ性に欠ける」といわれる。大統領がその指導力を疑問視すれば他の首相の指名もあり得たが、プロディ氏は22日深夜、官邸に全与党代表を招集。「政府内では首相が最終的発言権を持つ」との合意文書を取りつけた。
コリエレ・デラ・セラ紙によると、首相は自ら文書を示し、「同意していただくか、私が去るか。私が去れば総選挙しか道はない」と迫ったという。今選挙が行われればベルルスコーニ前首相の中道右派が有利とされている世論調査も念頭にあったとみられる。