むつ小川原開発は、新たな重化学工業地帯として72年に計画されたものの、石油危機で暗礁に乗り上げた。00年、推進母体の第三セクター「むつ小川原開発」が約2400億円の負債を抱えて破綻(はたん)した。
同社は清算され、事業は「新むつ小川原」が継承。経団連は10億円の基金を創設し、委員会は基金の管理と大型事業の誘致活動を担った。
初代委員長は三菱化学元会長の古川昌彦氏。第2代は前田建設工業の前田又兵衛前名誉会長で、昨年5月、同社の上田恵一郎相談役と交代した。上田氏は前福島県知事の汚職事件に同社が絡んだことを受け、昨年12月に委員長職を辞任した。
新会社社長の永松恵一・経団連常務理事は「重要な委員会だが、委員長を急に決める必要性はない」。5月の経団連総会までには決めるとみられるが、頼みのゼネコンからは談合問題もあって輩出しにくい状況で、人選難航が予想されている。
新会社は2800ヘクタールの土地の開発を手がけており、約1700ヘクタールが売れ残っている。むつ委員会の誘致活動もあって国際熱核融合実験炉(ITER)関連施設が建設されることになったものの、今後も「トップ不在」が続けば、委員会の活動が鈍くなるのは確実だ。
永松常務理事は「赤字がかさむ状態ではない」と説明するが、05年度は初の営業赤字に転落。基金を1300万円切り崩した。06年度の営業黒字も微妙な情勢だ。