ジャンプ団体で銅メダルを獲得し、喜ぶ(左から)栃本、岡部、伊東、葛西の各選手=25日、札幌市の大倉山ジャンプ競技場で
無風と追い風が混ざり合う難しい条件に、強豪国も苦しめられた。フィンランドやドイツは1回目でメダル圏外へ。だがベテランの岡部と葛西が着地寸前まで粘り、1回目を終え3位につけた。
2回目。1番手の栃本は揚力を得られず6位に落ちても、2番手の岡部がトップ記録で4位に浮上。体調を崩し、前日から何も口にしていない葛西は靴の中に重りを入れて臨んでいたが、安定感では問題ない。あとは、3番手の伊東だった。
若きエースと呼ばれた21歳も、今季のワールドカップ(W杯)では18位が最高だ。前日の個人ラージヒルでは29位に沈み「体のバランスがバラバラ。何が原因なのか分からない……」。ユリアンティラ・ヘッドコーチも「伊東は精神的に不安定だ」と心配していた。
それでも、へこたれるわけにはいかない。「なるべくミスを少なくしようと思った」2回目は、131.5メートルの大ジャンプ。3位浮上。両手の拳を突き上げて笑顔を見せたのは、今季初めてだ。
メダルが確定すると、最終ジャンパーの葛西に真っ先に抱きついたのは伊東だった。「昨日はあんな結果だったので、チームに迷惑をかけまいと思った。やっといいジャンプができました」
惨敗した前回05年大会からの浮上は、日本ジャンプ界に貴重な一ページを刻んだ。