◎春へ 07年お水取り◎
試別火(ころべっか)5日目の24日、別火坊の台所は早朝からにぎやかだった。練行衆(こもりの僧)の世話係の童子らが集まり、本行前半の上七日(じょうしちにち)に須弥壇(しゅみだん)へ供える壇供(だんぐ)の餅を作っていたのだ。直径十数センチの円形の餅を千個以上用意するため、きねの音が勢いよく響いた。
4人がかりでついて型に入れた餅は、棚に置いて乾かす。形がばらつかないよう時々型から出して手で丸め、乾いたものから型をはずして再び棚へ。
同じころ、別火坊に隣り合う戒壇院千手堂では、雑務を担当する仲間(ちゅうけん)の若者が、堂内いっぱいに並べられた紙衣用の和紙を片づけていた。棒に巻き付け体重をかけて絞った後、表面の毛羽立ちを防ぐため寒天の汁を塗って数日前から干してあった。寒天が乾いたところで一着分ずつまとめておき、来年以降の参籠(さんろう)の紙衣に仕立てることになる。
25日は試別火最終日。練行衆は2度目の社参をし、本行の無事を祈る。
(編集委員・小滝ちひろ)
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