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2007年02月25日(日) 16時47分

塩素ガステロ、イラクで続発 製造設備発見朝日新聞

 イラクで塩素を積み込んだトラックが爆発し、爆弾による死傷者が出るだけでなく、まき散らされた塩素ガスを吸った周辺住民が倒れ、病院に担ぎ込まれる新手のテロが3件相次いでいる。イラク駐留米軍は塩素ガス爆弾の製造設備が見つかったと発表。バグダッドで米軍とイラク治安部隊の大規模な掃討作戦がつづくなか、スンニ派武装勢力が新戦術をとったとみている。

 AP通信などによると、バグダッド近郊のタジで20日、塩素を積んだトラックが爆発し、5人が死亡したほか、周辺住民ら約150人が呼吸困難などを訴えて病院に運ばれた。21日にもバグダッド市内でトラックの「塩素爆弾」が爆発。5人が死亡、約60人が病院に運ばれた。1月28日にも、スンニ派住民の多い中部ラマディで塩素を積んだトラックが爆発し、16人が死亡するテロがあったという。

 イラク駐留米軍は22日、化学物質が入ったボンベや爆発物、自動車などが置いてあった建物5棟をファルージャ近郊で発見したと発表。「ここで武装勢力が化学物質を調合し、車に爆弾とともに仕込んでいたとみられる」としている。

 塩素は比較的入手しやすいが、強い毒性がある。第1次世界大戦では塩素ガスが化学兵器として使われた。

 バグダッドでは、14日から米軍とイラク治安部隊が9万人を動員し、大規模な掃討作戦を展開している。また、イラクでの宗派対立が極度に悪化する引き金となった中部サーマッラでのシーア派聖廟(びょう)の爆破事件の1周年が22日で、イラク・米両軍は、なんらかの勢力が再び攻勢を仕掛けることを警戒していた。

 米軍の発表内容が事実とすれば、検問などが強化されるなか、武装勢力が、大仕掛けなテロから、装備が比較的小さいうえに市民に強い不安をもたらす化学攻撃にかじを切り始めた恐れがある。イラク国外の過激派が同様のテロ戦術を採用すれば、各国はさらなる対策を迫られることになる。

 米軍スポークスマンのコールドウェル少将は22日、「イラク市民がパニックを起こして分裂を深めることを狙った新戦術だ」と語った。

 イラクでは、旧フセイン政権が80年代後半、反体制活動が続いていたイラク北部のクルド地域でマスタードガスなどを使い、クルド人ら数千人が死亡した。

http://mytown.asahi.com/usa/news.php?k_id=49000000702240011