現在、政府がもつ情報は関係省庁の局長級で構成する合同情報会議が隔週、協議し、内閣情報官が首相や官房長官に報告している。だが、外務、防衛両省や警察庁などが得た重要情報は他省庁とは共有されず、直接首相に伝えられる傾向があるため、「縦割り」や情報の偏りなどの弊害が指摘されてきた。
今回新設される内閣情報分析官には、官僚や民間研究者らを数人程度起用することが検討されている。分析官はテーマごとの担当に分かれ、独立した立場で情報の信頼性を分析、評価し、報告書を作成。その報告書を合同情報会議が点検し、最終的な「お墨付き」を与える。とくに中長期的な課題に関する情報が対象となる。また、報告書はJNSCに示すだけではなく、機密保持の基準を満たす政府関係機関にも伝達することをルール化する方針だ。
内閣官房幹部は「生の情報を政策決定者が評価すると、その政策に都合のいいように評価が引きずられるおそれがある。客観的な立場で分析しないといけない」と指摘。分析官の新設には、信頼性の疑わしい情報で政策決定がゆがめられることを防ぐ狙いがある。また、「自前の情報が報告書に反映されれば、各省庁は情報を積極的に出す気になる」(政府関係者)と、情報共有化が進むことへの期待もある。
安倍政権は情報管理を重視。検討会議とは別に、JNSC創設のための「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」(議長・安倍首相)で議論を続けているほか、機密情報の漏洩(ろうえい)防止について、政府の「カウンターインテリジェンス推進会議」(議長・的場順三官房副長官)が対応策を検討している。