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2007年02月24日(土) 14時55分

大野病院事件 争点の処置「効果的」朝日新聞

 −検察側証人 捜査時供述翻す−

 大熊町の県立大野病院で04年、帝王切開手術中に女性(当時29)が死亡し、産婦人科医加藤克彦被告(39)が業務上過失致死などの罪に問われている事件で23日、第2回公判が福島地裁(大澤廣裁判長)で開かれた。争点となっている、子宮に癒着した胎盤をはがす際のクーパー(手術用ハサミ)の使用について、検察側証人の医師が、「むしろ効果的かもしれない」と、弁護側の主張を裏付けるような証言をした。

 この日の公判では、双葉町の双葉厚生病院の産婦人科医で、手術当日に被告の加藤医師から緊急時の応援を要請されていた加藤謙一・副院長が証人に立った。

 加藤副院長は捜査段階の地検の聴取に対し、「手で剥がすのに比べて、微妙な感触を確かめられない器具を使うのは危険」などと供述していた。しかしこの日、「当時は加藤医師がどのような方法でクーパーを使ったかという説明を受けておらず、(胎盤を)切るためにクーパーを使ったと考えていた。しかし(加藤医師のように)自分の目で見て、刃を閉じたクーパーで胎盤をはがすように使うのであれば適切な場合もある」「クーパーであれば、剥離(はく・り)部分も視野に入るので、手で剥離するよりもむしろクーパーの方が優れているかもしれない」などとし、クーパー使用の妥当性を指摘した。

 クーパーの使用については「安易にクーパーを使用し、無理やりはがしたのは問題」とする検察側と、「すばやく剥離するための妥当な医療行為」とする弁護側が対立し、争点の一つになっている。

 加藤副院長はまた、32年間の臨床経験で癒着胎盤患者の帝王切開を実施した例などを踏まえつつ、「胎盤をはがすことで止血効果が得られることがあるので、胎盤の剥離を始めたら中止せずに完了するべきだ」などと指摘。「剥離が難しいと分かった時点で直ちに中止すべきだ」とする検察側の主張に反する主張を展開した。

 県立大野病院の外科医として手術に加わった県立医大の宮本康太郎医師も検察側証人として立ち「癒着部分の剥離にクーパーを(こうした方法で)使うのは、外科ではよくあること」などと指摘した。

 検察側は、「あくまで胎盤を無理やりはがしたこと自体を問題としており、クーパーを使ったからいけないとは一言も言っていない」としている。

 次回の公判は来月16日。

http://mytown.asahi.com/fukushima/news.php?k_id=07000000702240004