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2007年02月24日(土) 00時00分

ねたみや悪口がひどい60歳母読売新聞

 30代女性。同居している60歳の母の口が悪すぎるので困っています。そばで聞いていると、気分が悪くなります。近所へのねたみ、ひがみ、男性でも口にできないような下品なことなど、もうあきれるほどです。

 母は父と離婚後、交際している男性がいますが、その家族ともめて、家に行けなくなりました。男性と電話では話していますが、男性の家族の悪口を大声で言います。

 また母は二十数年前に亡くなった父親(私の祖父)の遺産のことで、今になってごねています。このところ親類の結婚式にも呼ばれません。

 私と妹で、母に何度も言葉に気をつけるように言っているのですが、直りません。近所から、私たちも、母と同じように見られたら迷惑です。もう、そう思われているかもしれません。

 母には普通の60代のひかえめな女性になってほしいのですが、もう無理でしょうか。(大阪・O子)

 年齢・性別を問わず、他人への悪口がひどすぎる人っていますよね。こういう人はたいてい「自分のことは棚に上げて」悪口を言ってるので、説得力がなく、本人の評価が下がるだけなんですが、それをご自身が気づかないことが多いために、なかなか直しにくい。

 あなたのお母さんも、残念ながらこういうタイプなのですかね。でも、60歳という年齢を考えると、急に「ひかえめな普通の女性」になったら、その方がびっくりしちゃうかもしれません。ものすごくご本人に好意的に表現すれば、これは「その人らしさ」とも言えますから。

 となると、お母さんを変えようとするより、あなた自身が変わった方が早いかも。いや、と言っても、あなたを「我慢できる性格に改造せよ」と言うのではないんです。「母は母。あなたはあなた」という割り切り方ですね。同じ目で見られないかと心配し、別の人格であるお母様の行動にヤキモキして暮らすより、「人の振り見て我が振り直せ」じゃないですけど、あなた自身の気持ちをきちんと正しく周囲に伝えれば、誤解されることはないんじゃないでしょうか。

 (野村 総一郎・精神科医)

http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/kazoku/20070224sy11.htm