日興コーディアルグループをめぐる主な資本関係
シティは来月にも株式公開買い付け(TOB)を実施し、日興株式を大量取得する方向で調整している。出資比率を現在の4.9%から33.3%超に大幅に引き上げる方向で、取締役の派遣も検討している。日興が上場廃止の場合は全株を取得し、完全子会社にすることも視野に入れている。
シティは、04年に富裕層向けの資産管理・運用業務などの違法行為で金融庁から処分を受けて以来、日本での事業拡大が課題だった。日興とは、シティが49%、日興が51%を出資する法人向け証券業務の日興シティグループ証券を中心に資本・業務提携関係があり、さらなる関係強化を検討してきた。
日興は不正決算の発覚後、株式引き受けなどの法人部門を中心に顧客離れが進んでいる。また、複数の海外投資ファンドが大量に日興株式を購入するなど買収の危険性にさらされている。生き残りのためには、シティを含めた他の金融グループとの資本提携や傘下入りが避けられない情勢となっている。
東京証券取引所は日興が2月末に提出する決算の訂正報告書などを審査し、3月中旬までに日興株式の上場廃止の是非を判断する方針。上場維持でも現状のままでは信用回復に時間がかかると見られ、上場廃止なら一層の業務の縮小が避けられない。金融筋によると、シティは、上場廃止の場合、日興の完全子会社化を目指す可能性もある。
ただ、日興に対してはみずほフィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャル・グループも支援・提携に前向きと見られており、日興をめぐる争奪戦に発展する可能性も残されている。
日興は24日未明、「特定の社名も含めて、交渉にかかわるコメントは一切申し上げられない」とのコメントを出した。
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〈キーワード:米シティグループ〉 100カ国以上に拠点を持ち、06年の当期利益は約2兆6000億円、総収入は約10兆8400億円。株式の時価総額は約32兆円。日本では個人向け銀行業務のほか、クレジットカードや投資銀行業務などを展開。07年7月までに新たに金融持ち株会社を設立する方針を明らかにしており、東京証券取引所への株式上場も検討している。