再点火防止装置の搭載は改正省令施行後に義務化され、違反した場合はメーカーや輸入業者に回収を命令する。従わない場合、国は罰金百万円以下または懲役一年以下などの罰則を科す。施行前に製造された製品は義務付けの対象から外れる。
都市ガス事業者でつくる日本ガス協会によると、室内の空気を取り込み、室内に排気する「開放型」の小型湯沸かし器は都市ガス分だけで約五百八十万台が使用中だ。不完全燃焼装置がついていないものは約十五万台。残りのうちの大半を占める四百万台は、経産省が新たに搭載を義務づける再点火防止装置が搭載されていない機器とみられている。同省が省令改正で再点火防止装置の搭載義務化をしても、買い替えが進まない限り、しばらくは事故が相次ぎ見つかった現在と同じ状態が続く。
経産省の発表に先立ち、日本ガス石油機器工業会などガス関連四団体は二十二日、CO中毒事故の再発防止に向けて消費者の買い替えを促進するように古い機器の下取りを進めると公表した。
だが、ガス器具メーカーは「製品の利幅の少ない業界」(経産省幹部)といわれる。現在使われているすべての器具の下取りや買い替えのための補助金など一層の負担をメーカーに負わせることは、業界の衰退や製造撤退で、雇用問題に波及する懸念もある。
「消費者の安全は第一だが、メーカーのことも考えなければいけない」(同)のが経産省の立場だ。甘利明経産相は二十三日の記者会見で「関係業界のほか、自治体、医療機関などの協力も得て国民全体への注意喚起を徹底していきたい」と強調した。国として、消費者のガスに対する安全意識の向上を働きかけ、注意深いガス器具の使用に期待するしかない。 (古川雅和)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20070224/mng_____kei_____004.shtml